''GAOES-RV'' Project

GAOES-RV (Gunma Astronomical Observatory Echelle Spectrograph for Radial Velocimetry)は、県立ぐんま天文台1.5m望遠鏡で運用されていた高分散分光器GAOESに、視線速度精密測定機能を付加したものです。
ぐんま天文台と東京工業大学の間で結ばれた賃貸借契約に基づいて東京工業大学に貸与され、せいめい望遠鏡に搭載されています。
GAOES-RVをせいめい望遠鏡に搭載するにあたり、それまで使われていたスリットに代わって光ファイバー伝送系とイメージスライサーを新たに導入し、クロスディスパーザーを分散度の高いものに更新しました。また、視線速度精密測定用のヨードセルと新しいオートガイダーも導入しました。これら以外の主要な構成要素は、ぐんま天文台で使われていたものをそのまま再利用しています。
← 左の写真はぐんま天文台時代のGAOES [提供 県立ぐんま天文台]
Scientific Goals

視線速度精密測定による系外惑星探索
これまでに岡山天体物理観測所188cm望遠鏡と高分散分光器HIDES-Fを用いた系外惑星探索によって、 約50個の系外惑星が発見されてきました。しかし、2m級の望遠鏡で効率的に惑星探索が行えるのは6.5等より明るい星に限られるため、惑星発見数のこれ以上の大幅な増加は難しくなってきています。
日本国内最大であるせいめい3.8m望遠鏡に新たにGAOES-RVを搭載することによって、 8等星までを対象とした効率的な系外惑星探索が可能となり、 これによって特に巨星周りの惑星発見数の顕著な増加とそれらの統計的性質の解明に大きな進展が期待できます。
また、典型的に10等よりも暗い恒星が多いトランジット惑星系の追観測が新たに可能となり、 TESS衛星等によって発見されるトランジット惑星系の特徴付け観測において新たな研究の展開が期待できます。
その他の一般的な科学研究
また、GAOES-RVはせいめい望遠鏡に搭載される初めての高分散分光器として、 恒星大気化学組成解析、連星の軌道決定、恒星活動性の研究等に活用されることが期待されます。
機動力の高いせいめい望遠鏡の特長を生かした突発天体の研究にも威力を発揮することが期待されています。